記録(2023年1月14日)読書メモ(太宰治『彼は昔の彼ならず』『ロマネスク』)
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「出鱈目は、天才の特質のひとつだと言はれてゐますけれど。その瞬間瞬間の眞實だけを言ふのです。豹変という言葉がありますね。わるくいへばオポチュニストです。」
太宰治『彼は昔の彼ならず』
岡本太郎とウ〇トラマンを足し、おふざけ要素で満たした作品。「タローマン」。
つい最近、これを見て大変楽しんだのですが、その中に、
「出鱈目は簡単においそれと出来るものでない」というくだりがありました。
天才はそこを超えていく。過去の蓄積由来からの表現をせず出鱈目をやってのける。
なるほど、出鱈目が出来るのは確かに天才ですね。
「小説といふものはつまらないですねえ。どんなによいものを書いたところで、百年もまえにもっと立派な作品がちゃんとどこかにできてあるのだもの。もっと新しい、もっと明日の作品が百年まえにできてしまっていゐるのですよ。せいぜい眞似るだけだねえ。」
太宰治『彼は昔の彼ならず』
そのとしの秋、三郎はひとを殺した。言問橋から遊び仲間を隅田川へ突き落したのである。直接の理由はなかった。ピストルを自分の耳にぶつ放したい發作とよく似た發作におそはれたのであつた。
太宰治『ロマネスク』噓の三郎
「ピストルを自分の耳にぶっぱなしたい発作」。太宰節全開の一節。
重苦しくてならぬ現實を少しでも凉しくしようとして嘘をつくのだけれども、嘘は酒とおなじやうにだんだんと適量がふえて來る。次第次第に濃い嘘を吐いていつて、切磋琢磨され、やうやく眞實の光を放つ。これは私ひとりの場合に限つたことではないやうだ。人間萬事嘘は誠。
太宰治『ロマネスク』嘘の三郎
噓のない生活。その言葉からしてすでに嘘であつた。美きものを美しと言ひ、惡しきものを惡しといふ。それも嘘であつた。だいいち美きものを美しと言ひだす心に嘘があらう。あれも汚い、これも汚い、と三郎は毎夜ねむられぬ苦しみをした。
太宰治『ロマネスク』嘘の三郎
ロマネスク:小説的、空想的、荒唐無稽。想像によって幻想に入る。
登場人物は、仙術太郎、喧嘩次郎兵衛、噓の三郎であり、
それぞれが何かしらの極点に達している。
仙術太郎(仙術者)、喧嘩次郎兵衛(超絶剛力)、噓の三郎(嘘の玄人)
三人の話が進み、最後に「噓の三郎」の話で居酒屋で鉢合わせる。
如何ともしがたい虚言癖に悩み、「もう噓はつかない」と尽力した三郎は、
やけくそになって嘘の極みに達する。
ロマネスク=三郎の態度(嘘によって事実から離れた事象に突入する人間)
それでは。